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インドネシア進出にいくらかかるか、項目別にぜんぶ書く

インドネシア進出の法人設立費用、ビザ、人件費、税務、オフィス賃料、隠れコストまで項目別に徹底解説。PT PMA設立の実例2件とASEAN比較表つき。東南アジアで事業支援をしてきた経験から、現実的な数字を出します。

「インドネシアに進出したいんだけど、結局いくらかかるの?」

これまで何十回と聞かれてきました。そして毎回、答えに困る。なぜかというと、ネットに出ている情報が楽観的すぎるからです。

「500万円で会社が作れます」みたいな記事がありますが、あれは手続き費用だけの話であって、実際に事業を回せる状態にするにはその3〜5倍かかります。ここでは、僕たちが実際に見てきた数字をもとに、できるだけ正直に書きます。海外進出の全体像はこちらのガイドも合わせてどうぞ。

全体像 — PT PMAの設立で最低1,500万円は見る

外資100%の現地法人(PT PMA)をつくる場合、初期費用の総額は1,500万〜3,000万円です。ネット記事の「数百万で始められる」とはだいぶ差がある。

なぜこんなに開きがあるかというと、最低資本金の存在が大きい。2024年の投資法改正で、外資企業の最低投資額は100億ルピア(約800万円)に設定されています。これだけで予算の半分を持っていかれる。

さらに、業種によってはネガティブリストの制約で投資額の上乗せが求められることもあります。進出前に自社の事業がどのカテゴリに入るか、必ず確認してください。

初期費用の全体テーブル

費用項目 概算 補足
会社設立手続き 300〜600万円 法務・公証人・許認可
最低払込資本金 約800万円 100億ルピア
オフィス賃料(ジャカルタ) 月15〜50万円 ピンキリ
ビザ・KITAS 50〜100万円/人 駐在員1名あたり
初年度の運営費 500〜1,000万円 人件費・顧問契約含む

ASEAN各国との初期費用比較

ASEAN各国の比較記事でも書いていますが、ざっくり横並びにするとこうなります。

法人設立+初年度運営費の目安 最低資本金 設立期間
インドネシア 1,500〜3,000万円 約800万円 3〜6ヶ月
ベトナム 800〜2,000万円 業種による(0〜数百万円) 2〜4ヶ月
タイ 1,000〜2,500万円 約600万円(BOI認可時は優遇) 2〜4ヶ月
フィリピン 600〜1,500万円 約1,200万円(外資の場合) 3〜5ヶ月

インドネシアは資本金の絶対額ではフィリピンより安いものの、周辺コスト(ビザ、税務、翻訳)が嵩むため、トータルでは割高になりがちです。

会社設立で実際にかかるお金

インドネシアの法人設立プロセスは、日本と比べるとかなり手間がかかります。

OSSシステムへの登録

まず、OSS(Online Single Submission)システムへの登録。システム自体は無料なんですが、投資計画書の作成を現地コンサルに委託すると50〜150万円。自分でやれなくはないけど、インドネシア語の書類が大量に出てくるので、最初から任せた方が結果的に安い。

公証人(Notaris)費用

次に公証人(Notaris)費用。インドネシアでは公証人が会社設立で重要な役割を果たしていて、定款作成から法人登記までで100〜200万円かかります。日本の司法書士にあたるポジションですが、関与する範囲がかなり広い。

許認可の追加費用

業種によっては追加の許認可(環境許可、産業許可など)が必要で、それぞれ30〜100万円。「うちの業種は特に許可いらないだろう」と思っていたら実は必要だった、というのはインドネシアあるあるです。

会社設立にかかる時間

時間的なコストも見逃せません。OSSの登録から事業許可の取得まで、スムーズにいって3ヶ月、書類の差し戻しが起きると6ヶ月かかることもある。その間のコンサル費用やオフィスの空家賃は純粋な「待ちコスト」です。

ビザの費用 — 地味に痛い

日本人がインドネシアで働くには、RPTKA(外国人雇用計画書)の承認、VITAS(就労ビザ)、KITAS(一時滞在許可証)が必要です。全部合わせて1人あたり50〜100万円。

DPKK(技能開発基金)

さらに毎年DPKK(技能開発基金)として$1,200/人を払う義務がある。駐在員3人なら年間約50万円が固定でかかる計算です。更新費用も年30〜50万円。

家族帯同の追加コスト

駐在員が家族を連れてくる場合、配偶者・子どものKITASも別途必要です。1家族あたり追加で30〜60万円。加えて、インターナショナルスクールの学費が年間200〜400万円。これを会社負担にしている企業が多い。人件費の試算にこの「家族コスト」を入れ忘れると、あとで予算が大幅にずれます。

このビザ周りのコストを甘く見積もっている企業が多い印象です。海外進出のリスク管理の記事でも触れていますが、ビザの更新漏れは事業継続リスクに直結します。

人件費 — 安いけど、毎年上がる

ジャカルタの2025年最低賃金は月額約550万ルピア(約5万円)。日本と比べれば圧倒的に安いけど、年8〜10%のペースで上がり続けているのは覚えておいてください。東南アジアの人件費比較も参考になります。

職種別の月給目安

職種 月給の目安
一般事務 5〜9万円
経理・会計 9〜18万円
ITエンジニア 13〜31万円
マネージャー 22〜53万円
日本語人材(N2以上) 11〜22万円

採用マーケットの実態

日本語ができるインドネシア人の需要は高くて、年々採用が難しくなっています。N2レベルだと引く手あまたで、複数の日系企業が取り合いになることもザラです。

法定福利も忘れてはいけません。BPJS Kesehatan(健康保険)とBPJS Ketenagakerjaan(労働保険)の事業主負担が給与の約10〜12%。さらに、THR(レバラン手当)として年1回、月給1ヶ月分の支払い義務があります。つまり年間の人件費は「月給 × 14〜15ヶ月分」で計算する必要がある。

オフィス・設備の費用

ジャカルタのオフィス賃料

エリアによって大きく変わります。

エリア グレード 月額賃料(坪単価目安)
SCBD・Sudirman(CBD) グレードA 月30〜50万円(30坪)
Kuningan・Gatot Subroto グレードB 月20〜35万円(30坪)
TB Simatupang(南ジャカルタ) グレードB- 月12〜25万円(30坪)
コワーキング 月5〜15万円
バーチャルオフィス 月2〜5万円

地方都市という選択肢

スラバヤやバンドンであれば、ジャカルタの半額〜7割で同等のオフィスが借りられます。製造業や開発拠点ならジャカルタにこだわる必要はない。ただし、政府機関への申請がジャカルタ中心になるため、完全に地方だけで完結するのは難しい面もあります。

税務 — 複雑さがコストになる

インドネシアの税制は複雑で、VAT 11%、法人税22%、各種源泉徴収税が絡み合います。

主な税金の種類

税目 税率 備考
法人税(PPh Badan) 22% 売上500億ルピア以下は50%減税あり
VAT(PPN) 11% 2025年から12%への引き上げ議論あり
源泉徴収税(PPh 23) 2〜15% サービス報酬・配当等
個人所得税(PPh 21) 5〜35% 累進課税

税務コンサルタントの必要性

月額20〜50万円の税務コンサルタント費用は、払っておかないと後で痛い目を見ます。脱税の意図がなくても、知らずに申告漏れが起きるリスクがある。海外拠点の運営マニュアルでも書いていますが、税務は「節約」してはいけないコストです。

見落とされがちなコスト

予算を組むときに抜け落ちがちな費用を3つ挙げます。

翻訳費用

契約書や許認可申請はインドネシア語が原則です。年間50〜100万円は翻訳・公証にかかると思ってください。

銀行口座開設までのタイムラグ

法人口座の開設に1〜3ヶ月かかることがあります。その間の運転資金をどう手当するか、事前に考えておく必要がある。

保険・セキュリティ費用

現地オフィスの火災保険、従業員の任意保険、セキュリティサービスなど。月額5〜15万円は見ておくべき。

事例1:IT企業のジャカルタ進出(従業員10名規模)

背景

日本のSaaS企業(社員50名)がインドネシア市場の開拓を決定。最初はジャカルタにオフィスを構え、営業3名+開発5名+管理2名の体制でスタートした。

実際にかかった費用

項目 金額
会社設立(法務・公証人・許認可) 450万円
資本金払込 800万円
ビザ(日本人駐在2名) 180万円
オフィス(KuninganグレードB・30坪) 月25万円
人件費(月額合計) 月120万円
税務・会計コンサル 月30万円
初年度トータル 約3,500万円

学びのポイント

当初は「2,000万円あれば足りる」と見積もっていたが、ビザの家族帯同コスト、THR手当、翻訳費用が想定外で500万円以上の超過。結果として、予備費を含め3,500万円になった。「ネットで見た数字の1.5倍は見ておけ」というのが担当者のコメントだった。IT業界の海外進出パターンとも比較すると面白い。

事例2:製造業の工業団地進出(従業員50名規模)

背景

中堅の自動車部品メーカーがインドネシアの工業団地に工場を設立。ジャカルタ近郊のカラワン工業団地を選定した。

実際にかかった費用

項目 金額
会社設立 + 環境許可 + 産業許可 700万円
資本金払込 800万円
工場用地リース(10年契約前払い) 5,000万円
建屋建設 8,000万円
設備輸送・据付 3,000万円
ビザ(日本人駐在5名) 450万円
人件費(月額合計・50名) 月400万円
初年度トータル(設備投資含む) 約2億3,000万円

学びのポイント

製造業は設備投資があるため桁が違う。ただし意外に効いたのは「通関の遅延コスト」。設備の輸入通関に想定より2ヶ月多くかかり、工場の稼働開始が遅れた分の固定費(月500万円 × 2ヶ月 = 1,000万円)が丸ごと余分にかかった。製造業の海外進出も似た構造の課題がある。

コストを抑えるための5つの戦略

1. バーチャルオフィスからスタート

月2〜5万円に賃料を抑える。ただしBOI的な優遇が受けられない場合があるので、長期的にはちゃんとしたオフィスへの移行を視野に入れてください。

2. EOR(Employer of Record)の活用

法人設立前にインドネシア人スタッフを雇う方法。月額の管理手数料は1人あたり5〜10万円だけど、法人設立費用を後回しにできるメリットは大きい。BPOの仕組み解説も参考になります。

3. 最小限の駐在員体制

最初は日本人駐在員1名+現地スタッフ2〜3名のスモール体制にする。ビザ関連だけで駐在員1名あたり年間100万円以上のコスト差が出る。

4. 地方都市の活用

スラバヤやバンドンなら、ジャカルタの半額でオフィスが借りられる。開発拠点やバックオフィスは地方に置くハイブリッド型が増えている。

5. 段階的な投資

いきなりフル体制で入るのではなく、市場調査(3ヶ月)→EOR雇用(6ヶ月)→法人設立のステップを踏む。失敗したときの撤退コストを最小化できる。中小企業の海外進出費用感でも段階的アプローチを推奨しています。

進出前にやるべきコスト試算チェックリスト

以下の項目をすべて積み上げてから、予算を確定してください。

  • 法人設立費用(法務・公証人・許認可)
  • 最低資本金
  • オフィス賃料(保証金含む)
  • ビザ費用(駐在員全員分 + 家族帯同分)
  • 人件費(法定福利 + THR含む14〜15ヶ月分で計算)
  • 税務コンサルタント費用
  • 翻訳・通訳費用
  • 保険・セキュリティ
  • 銀行口座開設までの運転資金
  • 予備費(総額の20%)

予算がズレる最大の原因

僕たちが見てきた中で、予算超過の原因トップ3はこうです。

  1. ビザ関連費用の過小見積もり — 家族帯同、DPKK、更新費用を入れていない
  2. 設立期間の長期化 — 3ヶ月で終わる想定が6ヶ月かかり、その間の固定費が膨らむ
  3. 為替リスク — 円安局面ではルピア建てのコストが日本円換算で跳ね上がる

これらを「想定内」にできるかどうかが、インドネシア進出の成否を分けます。

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ここまで読んで「思ったより高いな」と思った方もいるかもしれません。でも、正直に言えばこれが現実です。

EONでは、進出前のフィージビリティ調査から費用試算、法人設立、現地パートナー開拓まで一気通貫で支援しています。「まだ検討段階だから」という段階でも全然大丈夫。むしろ、早い段階で正確な数字を把握しておく方が、後からの手戻りが少ない。

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よくある質問(FAQ)

Q. インドネシアで会社を作る最低費用は?

外資100%現地法人(PT PMA)で最低1,500万円は見てください。ネットで見る「数百万」は手続き費用だけで、資本金や運営費を含めると3倍以上になります。

Q. インドネシアの法人税率は?

標準22%です。売上500億ルピア以下の中小企業には50%減税の特例があります。ただし税制が複雑なので、税務コンサルは必須です。

Q. ビザ取得にどのくらいかかる?

1人あたり初年度50〜100万円。RPTKA承認、VITAS、KITASが必要で、手続きに2〜3ヶ月。更新は年30〜50万円です。

Q. ジャカルタのオフィス賃料は?

CBD(中心部)のグレードAで月30〜50万円、郊外のコワーキングなら月5〜15万円。バーチャルオフィスなら月2〜5万円でスタートできます。

Q. 法人設立にどのくらい時間がかかる?

スムーズにいけば3ヶ月、書類の差し戻しなどがあると6ヶ月。OSSシステムの登録から事業許可取得までのプロセスが長い。

Q. 現地スタッフの採用は難しい?

一般職は比較的簡単です。ただし日本語人材(N2以上)は争奪戦で、年々採用難易度が上がっています。N3レベルから社内で育成するのもひとつの手です。

Q. ベトナムやタイと比べてインドネシアは高い?

トータルコストではインドネシアがやや高め。ただし2.7億人の市場規模とGDP成長率5%を考えれば、投資対効果は十分にある。各国比較はこちら

Q. 進出費用を抑える一番の方法は?

EOR(Employer of Record)を使って法人設立前に現地スタッフを雇い、市場検証してから本格進出するのが最もリスクが低い。僕たちもこのステップを推奨しています。

まとめ — 「いくらかかるか」を正確に知ることが最初の一歩

2.7億人の市場、安定したGDP成長率5%台、若い労働力。インドネシアのポテンシャルは間違いなく大きい。でも、進出費用を甘く見積もると、事業が軌道に乗る前に資金が尽きるリスクがあります。

一番大事なのは「どこにいくらかかるか」を事前に精緻に把握すること。この記事がその参考になれば嬉しいです。業界別の海外進出ガイドもぜひ読んでみてください。

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EONではインドネシアを含む東南アジアへの進出費用の試算から、法人設立、現地パートナー開拓まで一気通貫で支援しています。まずは相談から

よくある質問

インドネシアで会社を作る最低費用は?
外資100%現地法人(PT PMA)で最低1,500万円は見てください。ネットで見る「数百万」は手続き費用だけで、資本金や運営費を含めると3倍以上になります。
インドネシアの法人税率は?
標準22%です。売上500億ルピア以下の中小企業には50%減税の特例があります。ただし税制が複雑なので、税務コンサルは必須です。
ビザ取得にどのくらいかかる?
1人あたり初年度50〜100万円。RPTKA承認、VITAS、KITASが必要で、手続きに2〜3ヶ月。更新は年30〜50万円です。
ジャカルタのオフィス賃料は?
CBD(中心部)のグレードAで月30〜50万円、郊外のコワーキングなら月5〜15万円。バーチャルオフィスなら月2〜5万円でスタートできます。
法人設立にどのくらい時間がかかる?
スムーズにいけば3ヶ月、書類の差し戻しなどがあると6ヶ月。OSSシステムの登録から事業許可取得までのプロセスが長い。
現地スタッフの採用は難しい?
一般職は比較的簡単です。ただし日本語人材(N2以上)は争奪戦で、年々採用難易度が上がっています。N3レベルから社内で育成するのもひとつの手です。
ベトナムやタイと比べてインドネシアは高い?
トータルコストではインドネシアがやや高め。ただし2.7億人の市場規模とGDP成長率5%を考えれば、投資対効果は十分にある。
進出費用を抑える一番の方法は?
EOR(Employer of Record)を使って法人設立前に現地スタッフを雇い、市場検証してから本格進出するのが最もリスクが低い。
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