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【2025年版】東南アジア進出どの国がいい?6カ国を業種別・目的別に本音で比較

東南アジア進出先をベトナム・タイ・インドネシア・フィリピン・マレーシア・カンボジアの6カ国で比較。製造業・IT・サービス業の視点から費用・規制・人材・税制を整理し、2つの実例と現場経験からの本音評価を掲載。

「東南アジアに進出したいけど、どの国がいいですか?」

この質問に対する正解は「御社の業種と目的による」なんですが、それだけだと何の参考にもならないので、僕たちが実際に各国で日本企業の進出を支援してきた経験から、本音で比較します。

ネットの比較記事はどれもGDP成長率や最低賃金の数字を並べて終わっていますが、現場にいると数字だけでは見えない「肌感覚」がある。この記事では、数字の比較はもちろん、実際に進出を支援してきた中で感じた各国の空気感まで含めて書きます。12,000字超の長文ですが、ブックマークして国選びの判断材料に使ってください。

比較する6カ国と選んだ理由

この記事で比較するのは、ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、カンボジアの6カ国です。

なぜこの6カ国か。日本の中小企業が実際に進出先として検討する国はほぼこの中に収まるからです。ASEAN加盟10カ国のうち、ミャンマーは2021年以降の政情不安で現時点では進出を推奨できない。ラオスは人口750万人・GDP約200億ドルで市場規模が極端に小さい。ブルネイは人口45万人で同様。シンガポールは1人あたりGDPが6万ドル超で生活費・人件費ともに東京以上、中小企業の製造・サービス拠点には向かない。

消去法で残るのがこの6カ国。そしてこの6カ国の中にも明確な「向き不向き」がある。それを業種別・目的別に掘り下げるのがこの記事の目的です。

6カ国の基本データ比較

まず数字で俯瞰します。

指標 ベトナム タイ インドネシア フィリピン マレーシア カンボジア
人口 1億人 7,200万人 2.7億人 1.1億人 3,300万人 1,700万人
GDP成長率(2024) 7.1% 2.8% 5.1% 5.6% 4.5% 5.4%
1人あたりGDP $4,300 $7,200 $4,900 $3,500 $12,500 $1,800
最低賃金(月額目安) 約28,000円 約32,000円 約50,000円 約22,000円 約35,000円 約25,000円
日系企業数 2,300社 6,000社 2,000社 1,500社 1,800社 400社
法人税率 20% 20% 22% 25% 24% 20%
英語力(EF指数順位) 低(60位台) 中(40位台) 低(70位台) 高(20位台) 高(25位前後) 低(90位台)
インフラ成熟度 中低
平均年齢 31歳 40歳 30歳 26歳 30歳 27歳

注目すべきは平均年齢。タイは40歳で東南アジアでは「高齢化」が始まっています。フィリピンとカンボジアは20代後半で、人口ボーナスがまだ続く。5年後・10年後の労働力供給を考えると、この数字は国選びの重要な要素になります。

この数字だけ見ても判断はつかない。大事なのは「自社の目的に合うか」です。以下、業種・目的別に掘り下げます。

製造業の進出先比較

製造業は東南アジア進出の中心。僕たちのクライアントでも製造業が最も多い業種です。

ベトナム — チャイナプラスワンの本命

製造業の進出先としてベトナムが選ばれる最大の理由は、サプライチェーンの成熟度です。Samsung(北部バクニン省で年間売上約700億ドル)、Foxconn、LGなどグローバル企業の製造拠点が集積し、部品調達の現地エコシステムができつつある。日系2,300社の集積がインフラの安心感を担保しています。

向いている企業: 電子部品、自動車部品、精密機械、食品加工
主要工業団地: ロンアン省、ビンズオン省、ハイフォン、バクニン
進出コスト: レンタル工場で初期800〜1,500万円、自社工場で3,000万円〜
注意点: 人件費は毎年6〜8%上昇中。「安いから」だけの理由なら5年で計算が合わなくなる。また北部(ハノイ周辺)と南部(ホーチミン周辺)で文化・気質が大きく異なる

現地で感じること: ベトナム人の学習意欲は本当に高い。技能実習生として日本で経験を積んだ人材が帰国後にマネージャー候補になるケースも増えています。ただし転職も活発で、育てた人材が競合に引き抜かれるリスクは常にある。

ベトナム製造業進出の詳細ガイド

タイ — 自動車産業の聖地

「東洋のデトロイト」と呼ばれるだけあって、自動車関連のサプライチェーンは圧倒的。トヨタ、ホンダ、いすゞの巨大工場があり、Tier1〜Tier3サプライヤーの層が厚い。日系6,000社の実績は東南アジアで断トツ。歴史が長い分、日本語が通じる人材や日系向けサービスも充実しています。

向いている企業: 自動車部品、プラスチック成形、電気機器、精密金型
主要工業団地: イースタンシーボード、アマタナコン、ラヨーン
進出コスト: 自社工場で初期2,000〜5,000万円。レンタル工場も選択肢豊富
注意点: 賃金水準は東南アジアで上位。もはや「低コスト生産拠点」ではなく「高品質生産拠点」として位置づけるべき

現地で感じること: タイ人のホスピタリティは東南アジアで群を抜いている。日本人との相性が良く、職場の人間関係でのトラブルは他国に比べて少ない。ただし「マイペンライ(大丈夫)」文化で、問題が表面化するのが遅いことがある。

インドネシア — 2.7億人の内需を狙うなら

製造業で「国内市場向けに現地生産したい」ならインドネシア一択。2.7億人の消費市場に、関税障壁が加わることで「現地生産の優位性」が発生します。二輪車市場は世界3位、日系メーカーのシェアは90%超。

向いている企業: 消費財メーカー、二輪車部品、建設資材、食品加工
主要工業団地: MM2100、KIIC、デルタマス(いずれもジャカルタ東部)
進出コスト: 法人設立の最低資本金が約800万円と高い。全体で2,000〜5,000万円
注意点: 規制が複雑で変更も頻繁。ネガティブリスト(外資参入規制リスト)の改定に常に注意が必要。現地の法務パートナーは必須

現地で感じること: インドネシアは島嶼国家で、ジャカルタ周辺と地方では全く別の国。「インドネシア市場」とひとくくりにできない多様性がある。ジャワ島の集中度が高いが、カリマンタンやスラウェシにも成長の芽がある。

インドネシア進出コストの詳細

カンボジア — コスト最優先の選択肢

最低賃金が東南アジアで最安水準(月約200ドル)。しかもドル経済なので為替リスクが低い。縫製業を中心に労働集約型の製造業が集積しています。

向いている企業: 縫製、組立、単純加工、ワイヤーハーネス
主要工業団地: プノンペン経済特区、シアヌークビル
進出コスト: レンタル工場で初期500〜1,000万円
注意点: インフラは未整備で停電リスクあり。電力コストはベトナムの約2倍。熟練労働者の確保が難しい。品質管理に日本以上のリソースが必要

現地で感じること: カンボジアは「若さ」が強み。平均年齢27歳で労働人口が増加中。ただし教育水準の課題があり、ワーカーの育成に時間がかかる。3ヶ月で一人前になるベトナム人が、カンボジアでは6ヶ月かかるというのが現場の実感。

フィリピン — 製造業には不向き、ただし例外あり

フィリピンは製造業にはあまり向いていません。電力コストがASEAN最高水準(キロワットあたり約15円)で、島嶼国家のため物流コストも高い。ただし半導体の後工程(パッケージング・テスト)では世界有数の実績があり、この分野に限っては有力な選択肢です。

製造業の比較まとめ

判断基準 おすすめの国 理由
チャイナプラスワン ベトナム サプライチェーン成熟度No.1
自動車関連 タイ 東洋のデトロイト、6,000社の実績
内需向け生産 インドネシア 2.7億人市場+関税メリット
コスト最優先 カンボジア 最低賃金最安+ドル経済
半導体後工程 フィリピン 世界有数の実績

IT・サービス業の進出先比較

IT・サービス業は製造業と最適な国がまったく異なります。インフラよりも人材とビジネス環境が決め手になる。

タイ — BOIの税制優遇が圧倒的

IT・サービス業なら、まずタイのBOI(投資委員会)制度を調べてください。ソフトウェア開発なら法人税が最大8年免除。デジタル系のスタートアップ向け優遇も充実しています。バンコクのIT人材プールは東南アジアで最も厚く、チュラロンコン大学やカセサート大学からの新卒は即戦力に近い。

向いている企業: SaaS、システム開発、デジタルマーケティング、EC
進出コスト: EORで初期200〜500万円、法人設立で500〜1,000万円
税制メリット: BOI認可で法人税最大8年免除、機械輸入税免除
注意点: シニアエンジニアの獲得競争が激しい。Grab、Line、Agodaと人材の取り合いになる。給与は年10〜15%のペースで上昇中

タイIT進出の詳細ガイド

フィリピン — 英語×低コストの独自ポジション

アジアで最も英語が通じる国。EF英語能力指数でASEAN1位。BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)産業は世界トップクラスで、130万人以上がBPO産業に従事。コールセンターやバックオフィス業務の外注先として実績豊富です。

英語×低コストの組み合わせはフィリピン独自の強み。マニラのIT人材は月給5〜8万円で、同程度のスキルの人材がバンコクでは10〜15万円。ただし物理的なインフラ(電力、交通)に課題があり、リモートワーク前提の業務設計が現実的です。

向いている企業: BPO、カスタマーサポート、コンテンツ制作、英語でのサービス提供、オフショア開発(英語ベース)
進出コスト: EORで初期150〜300万円、法人設立で400〜800万円
注意点: マニラの渋滞は生産性に直結する。通勤2時間は普通。リモートワークを前提にした方がいい

マレーシア — ビジネス環境の安定性

世界銀行のビジネス環境ランキングで常に上位。英語とマレー語が通じ、多民族国家ゆえの国際性がある。KLのIT人材は質が高く、FinTechのハブとしても成長中。MDeC(マレーシア・デジタル・エコノミー・コーポレーション)のMSCステータスを取得すれば、追加の税制優遇も受けられます。

向いている企業: FinTech、ハラル認証ビジネス、地域統括拠点、リサーチセンター
進出コスト: 法人設立で500〜1,000万円(設立自体は最短2週間)
注意点: 人口3,300万人で市場規模は限定的。「マレーシアから他国を攻める」という位置づけが現実的。ブミプトラ政策(マレー系優遇)の影響も業種によってはある

ベトナム — オフショア開発の新定番

IT企業のオフショア開発先として急成長中。特にハノイとダナンのIT人材は質が高く、日本語対応可能なエンジニアも増えています。人件費はタイの6〜7割で、コストパフォーマンスは抜群。FPT、CMC、ViettelなどのベトナムIT大手が育ったおかげで、業界のエコシステムが成熟してきています。

向いている企業: オフショア開発、技術BPO、ラボ型開発、QAテスト
進出コスト: EORで初期200〜400万円、ラボ開設で500〜800万円
注意点: 英語力はタイ以下。日本語かベトナム語でのブリッジSEが必要。また、ホーチミンよりハノイ・ダナンの方がIT人材の定着率が高い傾向がある

IT・サービス業の比較まとめ

判断基準 おすすめの国 理由
税制優遇重視 タイ BOI法人税最大8年免除
英語環境必須 フィリピン アジア最高の英語力、BPO実績
ビジネス環境重視 マレーシア 制度の安定性と国際性
コスパ重視 ベトナム 質の高いIT人材が低コスト
地域統括拠点 マレーシア or タイ インフラと国際アクセス

コスト比較 — 実際いくら違うのか

数字だけの比較表はどこにでもありますが、「実際に拠点を構えたらいくらかかるのか」のリアルな数字を出します。僕たちのクライアント実績をベースにした数字です。

月間運営コスト比較(営業拠点・スタッフ3名の場合)

費目 ベトナム タイ インドネシア フィリピン マレーシア カンボジア
オフィス賃料 15万円 25万円 20万円 12万円 22万円 8万円
人件費(3名) 30万円 45万円 35万円 25万円 40万円 20万円
通信・IT 3万円 4万円 4万円 3万円 4万円 3万円
法務・会計 5万円 8万円 10万円 5万円 8万円 5万円
雑費・交通 5万円 7万円 6万円 4万円 6万円 4万円
月額合計 58万円 89万円 75万円 49万円 80万円 40万円
年間合計 696万円 1,068万円 900万円 588万円 960万円 480万円

カンボジアが最安ですが、前述の通りインフラリスクがあります。コストと安定性のバランスでは、ベトナムとフィリピンが中小企業にとって現実的な選択肢です。

初期投資の比較(法人設立フルパッケージ)

費目 ベトナム タイ インドネシア フィリピン マレーシア カンボジア
法人設立費用 80万円 100万円 200万円 100万円 60万円 50万円
資本金(最低) 業種次第 実質600万円 800万円 400万円 業種次第 なし
オフィス保証金 30万円 60万円 50万円 20万円 40万円 15万円
就労ビザ 15万円 10万円 30万円 15万円 15万円 10万円
合計目安 500〜800万円 800〜1,200万円 1,200〜2,000万円 600〜900万円 500〜800万円 300〜500万円

インドネシアの初期コストが突出しているのは最低資本金の影響。マレーシアとカンボジアは設立コスト自体は低いが、目的と市場規模を考慮して判断する必要があります。

各国の人件費比較の詳細海外進出コストの見積もり方も参考にしてください。

規制・法務の比較

法人設立のしやすさ

項目 ベトナム タイ インドネシア フィリピン マレーシア カンボジア
設立期間 1〜2ヶ月 1〜2ヶ月 2〜4ヶ月 2〜3ヶ月 2〜4週間 1〜2ヶ月
最低資本金 なし(業種による) なし(実質200万B) 約800万円 約400万円 なし(業種による) なし
外資100%可能 業種による 業種制限あり 業種制限あり 業種制限あり 業種による ほぼ全業種OK
就労ビザ難易度
土地所有 不可 不可 不可 不可 不可 不可

マレーシアの設立スピード(最短2週間)は突出しています。カンボジアは外資規制がほぼなく、参入障壁は低い。一方、インドネシアは最低資本金と規制の複雑さで、手続きに最も時間とコストがかかります。

注意: どの国も外国人は原則として土地を所有できません。工場用地は工業団地のリースが基本です。

税制優遇の比較

主な優遇制度 対象 最大メリット
タイ BOI投資奨励 製造・IT・研究開発 法人税最大8年免除
ベトナム 投資優遇法 ハイテク・工業団地 法人税4年免除+9年半減
インドネシア タックスホリデー 製造業(大規模投資) 法人税最大20年免除
フィリピン CREATE法 輸出・IT 法人税4〜7年免除
マレーシア パイオニアステータス 製造・ハイテク 法人税5年免除
カンボジア QIP制度 製造・農業・観光 法人税最大9年免除

税制優遇は魅力的ですが、適用条件が細かいので必ず現地の税務専門家に確認してください。「税制優遇があるから進出」は本末転倒。あくまで事業計画の上にボーナスとして乗る程度の位置づけがちょうどいいです。

人材市場の比較

国選びで見落とされがちなのが人材市場の実態。「人件費が安い」は入口にすぎず、実際に重要なのは「必要なスキルの人材が採用できるか」「採用した人材が定着するか」です。

指標 ベトナム タイ インドネシア フィリピン マレーシア カンボジア
大卒初任給(月額目安) 5〜8万円 8〜12万円 6〜10万円 4〜7万円 8〜12万円 3〜5万円
日本語人材の豊富さ ★★★★★ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆
IT人材の質 ★★★★☆ ★★★★★ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★☆☆☆
離職率(年間) 15〜20% 10〜15% 10〜15% 15〜25% 10〜15% 20〜30%
採用までの期間 2〜4週間 2〜4週間 3〜6週間 1〜3週間 2〜4週間 2〜4週間

ベトナムの日本語人材の豊富さは圧倒的。技能実習生・留学生として日本に滞在した経験者が帰国後に日系企業に就職するパイプラインが確立しています。一方、フィリピンは採用は早いが離職率が高く、「育てては辞められる」サイクルに入りやすい。

僕たちが国選びで見ているポイント

国選びで失敗する企業に共通するのは「数字だけで決める」ことです。GDP成長率や人件費は大事だけど、それ以上に重要なのは以下の3つ。

1. 自社製品・サービスにニーズがあるか

成長率が高くても、自社の事業に合う市場がなければ意味がない。製造業なのかサービス業なのかで、最適な国は全く変わります。「とりあえず成長してるから」ではなく、具体的に「誰に何を売るのか」「何を作るのか」を先に決める。

2. 自社がアクセスできるネットワークがあるか

現地にパートナーや知人がいるか。これは想像以上に重要。ゼロからネットワークを構築するのは時間も金もかかる。既に取引先が進出している国、業界団体のつながりがある国は、それだけで大きなアドバンテージです。

僕たちの経験では、「現地に1人でも信頼できる知人がいる国」は進出成功率が2倍以上。逆に誰も知り合いがいない国への進出は、ネットワーク構築だけで半年から1年かかります。

3. 経営者が「行きたい」と思える国か

身も蓋もない話ですが、海外拠点は何度も足を運ぶことになります。経営者が「この国は好き。何度でも来たい」と思えるかどうかは、長期的な成功に影響します。逆に「なんとなく苦手」な国は、足が遠のいて判断が遅れる。これは数字には出ないけど、僕たちが何十件も進出を見てきた中での実感です。

事例1: 精密部品メーカーC社の国選び

愛知県の精密部品メーカーC社(従業員60名)。取引先の大手メーカーがベトナムとインドネシアに工場を持っていて、「どちらかの近くに品質管理拠点を置きたい」という相談だった。

比較のプロセス

比較項目 ベトナム インドネシア
取引先工場の場所 ホーチミン近郊 ジャカルタ近郊
取引先の発注量 月額2,000万円 月額800万円
同業日系企業の有無 多い(部品調達容易) 少ない(調達に課題)
法人設立コスト 約500万円 約1,000万円
現地人材の質 精密加工の経験者あり 経験者が少ない
日本語人材 豊富 限定的

結論: ベトナムを選択

「発注量が大きい」「同業の集積で部品調達しやすい」「法人設立コストが半分」「日本語人材が豊富」。4つの要素でベトナムが上回った。ただしインドネシアの拠点は2年後に「フェーズ2」として計画に残した。

結果、進出から1年で取引先の品質監査をパスし、ベトナム拠点単独で月商1,500万円を達成。日本語N2レベルのベトナム人マネージャーを採用できたことで、日本本社とのコミュニケーションがスムーズに回った。

事例2: 食品メーカーD社のマレーシア進出

大阪の食品メーカーD社(従業員30名)。日本で販売している調味料を東南アジアに展開したいという相談。当初はインドネシア(人口最大)を検討していた。

なぜマレーシアに変更したか

  • インドネシアはハラル認証の取得が複雑で時間がかかる(BPJPH経由で6ヶ月以上)
  • マレーシアはハラル認証の取得環境が整備されており、JAKIMの認証は国際的な信頼度が高い
  • マレーシアでハラル認証を取得すれば、中東・南アジア市場へのパスポートになる
  • 人口は少ないが、1人あたりGDPが$12,500と高く購買力がある
  • 英語でビジネスが回せるので、D社の限られた人員で対応可能

結果

マレーシアで取得したハラル認証をてこに、UAE、サウジアラビアへの輸出を開始。マレーシア国内の売上は月商200万円と小さいが、中東向け輸出が月商800万円に成長。「マレーシアを拠点にイスラム圏を攻める」戦略が当たった。

D社の事例は「人口だけで国を選ばない」ことの好例。マレーシア単体の市場は小さいが、ハラルのハブとしての価値は人口の何倍もある。

チャイナプラスワンの影響と各国の立ち位置

2020年代に入ってから「中国一極集中のリスクを分散したい」という大手企業の動きが加速しています。米中対立、コロナでのサプライチェーン寸断、地政学リスクの顕在化。この流れの中で、サプライヤーである中小企業にも進出の機会が生まれている。

チャイナプラスワンの受け皿としての各国評価

受け皿としての成熟度 強み 課題
ベトナム ★★★★★ Samsung等の集積、部品調達 人件費上昇、電力不足
タイ ★★★★☆ 自動車産業、インフラ成熟 コスト高、高齢化
インドネシア ★★★☆☆ 内需市場、鉱物資源 規制の複雑さ
フィリピン ★★☆☆☆ BPO、英語力 製造インフラ弱い
マレーシア ★★★☆☆ 半導体パッケージング 市場規模小、人材不足
カンボジア ★★☆☆☆ 低コスト、ドル経済 インフラ未整備、人材育成

チャイナプラスワンの本命はベトナム。ただし人件費上昇と電力供給の不安定さを考えると、「ベトナム+もう1カ国」という分散も視野に入れるべきです。チャイナプラスワン戦略の詳細はこちら。

東南アジア以外の選択肢 — 中央アジアという穴場

東南アジアだけが海外進出先ではありません。僕たちEONが注目しているのが、中央アジア、特にカザフスタンです。

カザフスタンの特徴

  • 人口1,900万人、GDP成長率4〜5%
  • 天然資源(石油、ウラン、レアメタル)が豊富で、資源関連の投資が活発
  • 日系企業はわずか約60社。競合がほぼいない空白市場
  • ロシア語圏(CIS諸国)への展開拠点として機能する地理的優位
  • AIFC(アスタナ国際金融センター)で英国法ベースのビジネスが可能
  • 国民の親日感情が強い(中央アジアは全般的に親日)

「東南アジアはレッドオーシャン」と感じている企業にとって、カザフスタンは文字通りの空白市場。ただし情報が少なく、現地パートナーなしでの進出は非現実的です。

カザフスタンのビジネス規制中央アジア進出ガイドも参考にしてください。

国選びの判断フレームワーク

最後に、僕たちがクライアント企業と一緒に国選びをする際に使っているフレームワークを共有します。

ステップ1: 目的で候補を絞る

進出の目的 第一候補 第二候補 理由
生産コスト削減 ベトナム カンボジア サプライチェーン vs 最低コスト
取引先への追随 取引先がいる国 選択の余地なし
内需市場の開拓 インドネシア タイ 2.7億人 vs 購買力
IT拠点・オフショア タイ ベトナム 税制優遇 vs コスパ
BPO・英語業務 フィリピン マレーシア コスト vs 安定性
ハラル市場の開拓 マレーシア インドネシア 認証ハブ vs 市場規模
空白市場の先行者利益 カザフスタン カンボジア 日系60社 vs 400社

ステップ2: 3つのフィルターで検証

  1. 自社のリソースで対応可能か: 人材、予算、経営者の時間。月に何回現地に行けるか。社内に英語(または現地語)ができる人材がいるか
  2. テスト参入が可能か: EORやレンタルオフィスで小さく始められるか。フルコミットの前に仮説を検証できるか
  3. 撤退が可能か: 投資を最小限に抑えて、ダメならやめられる設計か。法人の清算手続きはどのくらいかかるか

ステップ3: 現地を見て最終判断

データだけで国を決めない。必ず2〜3日の現地視察を入れる。空港に降り立った瞬間の空気感、タクシーの運転手との会話、街中の活気、スーパーの品揃え。これらは数字に出ないけれど、5年間その国と付き合えるかどうかの判断に直結します。

視察のチェックリスト:

  • 工業団地 or オフィスエリアを実際に見る
  • 候補のパートナー企業と面談する
  • 現地で働いている日本人駐在員に話を聞く
  • 現地のスーパー・商業施設を回る(消費者を知る)
  • 公共交通を使ってみる(インフラを体感する)

「比較」の次に考えるべきこと

国を絞ったら、次はテスト参入の設計です。いきなりフルコミットしない。EOR、レンタルオフィス、テスト販売など、リスクを最小化しながら現地の感覚をつかむ方法はいくつもあります。

大切なのは「比較して終わり」にしないこと。比較はあくまで入口で、そこから先は行動しないと何も始まらない。「もう少し調べてから」と言い続けて3年経つ企業を何社も見てきました。完璧な情報が揃うことはない。70%の確信で動き出す勇気が必要です。

海外進出の全体的な始め方はこちらで詳しく書いています。進出手順の具体的なステップはこちら。リスクと回避策はこちらBPOの活用方法も参考にしてください。支援会社の選び方はこちらでまとめています。

僕たちEONは、ベトナム・タイ・インドネシア・カザフスタンの4カ国で日本企業の進出を支援しています。「うちの業種だとどの国がいい?」という相談もこちらから


どの国がベストかは、結局のところ御社の状況次第。でも「状況を整理して、候補を2〜3カ国に絞る」ところまでは、僕たちとの30分の壁打ちで到達できます。無料相談はこちら

よくある質問(FAQ)

東南アジア進出で一番人気の国は?

日系企業数ではタイ(約6,000社)が最多。ただし新規進出先としてはベトナムが最も人気で、チャイナプラスワンの流れでここ数年ベトナムへの進出が加速しています。

製造業の進出先としてベストは?

サプライチェーンの成熟度と日系企業の集積でベトナムが第一候補。自動車関連ならタイが圧倒的。人件費の安さだけを求めるならカンボジアも選択肢ですが、インフラや人材の質を考慮するとコストパフォーマンスではベトナムが優れています。

英語で仕事ができる国は?

フィリピンがアジアで最も英語が通じます。EF英語能力指数でASEAN1位。マレーシアも英語が公用語の一つで、ビジネスは英語で回せます。タイのバンコクも英語対応可能なIT人材が多いです。

東南アジアで最もコストが安い国は?

最低賃金ベースではカンボジアとフィリピンが最安水準。ただしインフラや人材の質を考慮したコストパフォーマンスでは、ベトナムとフィリピンがバランスに優れています。月間運営コスト(3名拠点)で比較すると、カンボジア約40万円、フィリピン約49万円、ベトナム約58万円です。

IT企業が東南アジアに進出するならどの国?

BOIの税制優遇(法人税最大8年免除)でタイが有力。オフショア開発ならベトナム(コスパ高)。英語環境重視ならフィリピン。ビジネス環境の安定性ならマレーシア。目的によって最適解が変わります。

ハラル市場を攻めるならどの国?

マレーシアが最適です。JAKIMのハラル認証は国際的な信頼度が高く、取得環境も整備されています。マレーシアでハラル認証を取得すれば、中東・南アジア市場への展開の足がかりになります。

東南アジア以外の進出先はある?

中央アジア、特にカザフスタンは日系企業がわずか約60社で競合がほぼいない空白市場。天然資源が豊富でGDP成長率4〜5%。CIS諸国への展開拠点としても機能します。ただし情報が少なく、現地パートナーなしでの進出は非現実的です。

国選びで最も重要なポイントは?

自社の製品・サービスに対するニーズがあるか、アクセスできるネットワークがあるか、経営者が何度も足を運びたいと思える国か。この3つが数字以上に重要です。GDP成長率や人件費だけで決めると失敗しやすい。

よくある質問

東南アジア進出で一番人気の国は?
日系企業数ではタイ(約6,000社)が最多。ただし新規進出先としてはベトナムが最も人気で、チャイナプラスワンの流れでここ数年ベトナムへの進出が加速しています。
製造業の進出先としてベストは?
サプライチェーンの成熟度と日系企業の集積でベトナムが第一候補。自動車関連ならタイが圧倒的。人件費の安さだけを求めるならカンボジアも選択肢ですが、インフラや人材の質を考慮するとコストパフォーマンスではベトナムが優れています。
英語で仕事ができる国は?
フィリピンがアジアで最も英語が通じます。EF英語能力指数でASEAN1位。マレーシアも英語が公用語の一つで、ビジネスは英語で回せます。タイのバンコクも英語対応可能なIT人材が多いです。
東南アジアで最もコストが安い国は?
最低賃金ベースではカンボジアとフィリピンが最安水準。ただしインフラや人材の質を考慮したコストパフォーマンスでは、ベトナムとフィリピンがバランスに優れています。月間運営コスト(3名拠点)で比較すると、カンボジア約40万円、フィリピン約49万円、ベトナム約58万円です。
IT企業が東南アジアに進出するならどの国?
BOIの税制優遇(法人税最大8年免除)でタイが有力。オフショア開発ならベトナム(コスパ高)。英語環境重視ならフィリピン。ビジネス環境の安定性ならマレーシア。目的によって最適解が変わります。
ハラル市場を攻めるならどの国?
マレーシアが最適です。JAKIMのハラル認証は国際的な信頼度が高く、取得環境も整備されています。マレーシアでハラル認証を取得すれば、中東・南アジア市場への展開の足がかりになります。
東南アジア以外の進出先はある?
中央アジア、特にカザフスタンは日系企業がわずか約60社で競合がほぼいない空白市場。天然資源が豊富でGDP成長率4〜5%。CIS諸国への展開拠点としても機能します。ただし情報が少なく、現地パートナーなしでの進出は非現実的です。
国選びで最も重要なポイントは?
自社の製品・サービスに対するニーズがあるか、アクセスできるネットワークがあるか、経営者が何度も足を運びたいと思える国か。この3つが数字以上に重要です。GDP成長率や人件費だけで決めると失敗しやすい。